森に響く、心地よい音
忘れられない根の道
国道331号線を海沿いに西へ。
ガンガラーの谷は海沿いから緩やかな傾斜を登った場所にある。
数十万年前の鍾乳洞が崩落して誕生したとされるこの谷は、時代に寄り添い姿を変えてきた。
時には人を囲い守り、木の根を地中に深く引き込み、緑を育て生態系を維持する受け皿となっている。
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ツアーの始まり
ガンガラーの谷には予約制のツアーに参加をしなければ入場できない。
その理由は未だ貴重な財産とし研究されている自然を保護する目的と、専門ガイドによるツアーにより学術的な価値を広く伝えるためなのだそう。
ツアーの始まりは集合場所でもあるCaféのあるサキタリ洞という洞窟。
洞窟内はライトの光で照らされ、浮かびあがる暖色の鍾乳石が幻想的でとても綺麗。
ここで希望者にはお茶(さんぴん茶)の入った水筒が配られる。
水筒に取り付けるストラップも用意されており、肩から下げることができる。
色とりどりのストラップ
ステレンス水筒を肩から下げて…ツアーが始まります!
層
-strata-
サキタリ洞遺跡には、数万年単位の長い年月をかけて造られた岩石の織りなす層がみられる。
鍾乳石はサンゴ礁である琉球石灰岩から成っており、長い歴史により少しずつ姿形を変化させている。
遺跡では多くの貝器類等の遺物が出土している。
現在も発掘調査が続いており、現場はシートで覆われている。
ガイドの方が詳しく解説してくれるので
現地でのツアーをお楽しみに…
発掘調査が続く洞窟はライトアップされ
照らされる鍾乳洞の模様が幻想的
水
-water-
遥か昔は海であった洞窟。
流れる川が大地を削り現在の姿を形造る。
イキガ洞にはランタンを受け取り進む。
洞窟内にご神体があり、神聖な場所として大切にされている。
緑
-green-
鍾乳洞が崩れ生まれた亜熱帯の森には様々な植物が育つ。
その大きさに驚く巨大な台湾竹、となりのトトロでも登場した雨傘にできる程大きな葉、クワズイモに出会うことができる。
音
-sound-
“ガンガラー”の谷。
その名前の由来はその昔、付近に住む人が小石を落とした際に奏でた音だという。
深い谷に落とした石はガンガンガラーといつまでも響いていたとのこと。
「ガン..ガン..ガン..ガラーガラーガラー」
谷を歩けば当時の音が響き聴こえてくるよう
根
-root-
谷の木が歩く。
ガジュマルの幹や枝から空中に伸びる根、気根と呼ばれるその根は、空中から地上に降り新たな根を伸ばす。
このサイクルを長い年月繰り返し、木が移動することがあるという
鍾乳洞を下から望めば蔦い落ちる根と
光に溶け込む緑のコントラストが綺麗
大主(ウフシュ)。
ツアー終盤に出会うガジュマル。
歴史を編む巨大な根は神秘的で、本来は目に触れてはいけないものを特別に見せて貰っているよう。
凛とした緊張感とは裏腹に、この空間に暫く身を委ねていると、徐々に包みこまれる様な暖かな空気感が肌に纏う。
そして、歴史を重ねどっしりと構えたこの神木を前に、心穏やかになり、軽くなった足取りでツアーを終えた。
歴史に寄り添い味わう沖縄そば-屋宜家
ツアーの後はお腹を満たすため、沖縄そばを。
ガルガラーの谷から車で約6分。
田畑を横目に南下すると、周囲を畑に囲まれた沖縄の伝統的な門構えのある木造住宅が人々で賑わっている。
屋宜家は登録有形文化財の建物内で沖縄そばを食べることができる。
昼時。
混み合う駐車場が空くまで一周りして車を停める。
住宅の方へ歩くと琉球石灰岩が積まれた壁の奥に瓦屋根が覗いている。
家の正面には魔よけの壁があり、それはヒンプンと呼ばれている。
ヒンプンは女性は左側から入り、お客様や男性は右側から入るそう。
ヒンプンがあることで外から直接家屋に目に触れず、家自体の重みや奥深さが増す。
築70年に近い家屋。
右手にある離れに案内される。
強い日差しを避けるように屋内へ。
市松模様の藍色、天井には梁が緩やかに渡る。
懐かしく涼しげで心地よい昼時。
アーサーが練りこまれている沖縄そばを注文。
アーサーは(学名:ヒトエグサ)いわゆるアオサとは分類上異なる海藻だそう。
食物繊維やビタミンB群が含まれ、整腸や疲労回復をサポートする。
濃すぎず、すっきりとしたスープで三枚肉は柔らかくほどける。
ミネラルが豊富で黒糖がたっぷりと染みたかき氷は暑さで火照った体をすっと軽やかにしてくれる。
information
◉ガルガラーの谷
要予約 ※ツアー以外では入場不可
ツアー時間:約1時間20分
料金:2500円(税込)保護者同伴小学生以下無料
HP:gangala.com
〔注意事項〕
ツアー中はトイレがないため、事前に駐車場にあるトイレで済ませておく。
動植物の持ち出し禁止
禁煙、ペット不可
〔準備〕
歩きやすい靴(約1㎞歩く)
虫除け対策(スプレー、シール等)
雨天時は雨具(受付にて100円でビニールカッパの販売あり)
◉屋宜家
HP:屋宜家(やぎや)
blog琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ
※ヒンプン:家の正面に据えられた目隠し塀のこと。
中国では塀風門と呼ばれる目隠しの塀があり、それが沖縄で使用され変化したものとされている。外からの魔を防ぐという魔除けの意味や、暴風・防火の役割もある。
(引用・参考:海洋博公園公式HP)